ジュネーブ大学(2019夏)Iさん

プログラム種別短期留学スペシャルプログラム
留学年2019年
言語英語
地域名ヨーロッパ
行先国名スイス
大学名ジュネーブ大学
部局名文学部
課程学士
新渡戸カレッジ該当

1.はじめに
今回の留学は毎日が刺激的で、本当にその言葉通り自分が今まで知らなかった世界が現実味をもって次々に開けていくようなワクワクすることの連続でした。このレポートを書いているのは帰国後3日目ですが、今もジュネーブでの出来事を思い出しながら興奮が収まりません。ジュネーブでの経験は私の人生においてきっと重要なターニングポイントになると思います。この感想文では国際機関への訪問、授業、それ以外の自由時間や日常生活の3つに分けて今回の留学を振り返ります。

2.国際機関への訪問
今回の留学の中で、国際機関で実際に働いている日本人の方々のお話を聞けたことは何物にも代えがたい収穫でした。今までの私の人生計画といえば、とにかく日本以外の場所を拠点にして生きていきたいという大きな枠組みがあるだけでしたが、今回の留学を終えてその大きな枠組みの中にどのような組織に入って働くのか、組織の中心部で働くのかフィールドに出て働くのか、そもそも自分は何を人生の中で最も重視して生きていくのか、といった多くの具体的で小さな枠組みが選択肢として登場してきたような感じがしました。その選択肢は、国際機関を訪れてそこで働く人がどのような人生を歩んでこられたのかを聞く中でどんどん増えていきました。私はフィールドに出て実際に何が起こっているのか、自分のやっていることがどのような影響を与えているのかを自分の目で見て、現地の要望に寄り添うことを一番大切にして働きたいと思っています。ジュネーブ滞在時には自分がフィールドにいることこそがそれを実現するために必要不可欠であると考えていましたし、自分の人類学というバックグラウンドを生かせるのもフィールドだけだと考えていました。しかし帰国後しばらくの間考えるうちに、必ずしもフィールドにいることだけが私の夢を実現する道ではないのだと思うようになりました。国連で働くためには修士号の取得が必要ですが、今は人類学とは全く違う法律や政治学といった方面に大学院で、もしくは実務経験を積むための就職先として選ぶのがいいのではないかと思っています。人類学のバックグラウンドを持ちながらより影響力のある組織の中心部で働くことで、フィールドの要望に沿う形で働くことができるのではないかと、新たな選択肢がまた増えました。
自分の将来を考えるとき、今までの私にとっては来年から始まる就職活動が大きな割合を占めており、一方で就職後の生活については考えが及んでいませんでした。大学卒業直後に入った会社で一生を過ごすならそれでいいのかもしれません。しかし、国連機関で働くことを自分の人生計画に選択肢の一つとして加えるなら、もっと長いスパンで自分の人生を捉えなくてはならないことを知りました。玉城先生も仰っていたように、keep dreamingがカギとなるでしょう。以前の私と違って今の私は、自分の夢を実現するための具体的な複数の道筋を知っていると同時に、今回の留学のように自分がまだ知らない世界を知ればそこに入ることを夢見る可能性があることも知っています。だから私の夢は今後変わるかもしれません。しかし常に目標をもって、keep dreamingの姿勢は忘れないようにしたいと思います。

3.授業
大学で行われた授業も、今まで公衆衛生について何も知識がなかった私にとっては新鮮なことばかりでした。特に印象的だったのは、公衆衛生は医療関係者だけではなく誰もが問題の解決に協力することができるという点です。今回一緒に留学したメンバーはいろいろな学部から来た人達だったので、彼らがそれぞれどのように貢献できるのかを考えることで具体的なイメージをつかむことができましたし、移動中などにみんながどのような将来設計をしているのかを聞くことができて参考になりました。また、医療人類学という分野があるということも知ることができ、私にも医療に携わる道もあるのだと新たな世界を知ることができました。
今回の留学ではじめてヨーロッパを訪れたのですが、やはり街並みも人の雰囲気も今まで行った外国とは少し違うと感じました。フィリップさんの案内でジュネーブ市内を歩いた際に、町のいたるところに歴史的な建物や銅像があることに気づき驚きました。特に昔の建物がそのまま残っていてそこに今でも人が住み続けていることは、日本と比べて災害が少ないこと、戦争から逃れることができたことが関係しているのかと思いました。世界史で習ったことが起こった場所に自分がいると思うと、興奮しました。人の雰囲気としては全体的におしゃれな人が多かったように思います。私のようにジーンズにTシャツという人は少なかったですし、フィリップさんがステッキを持っていたのにも驚きました。

4.自由時間や日常生活
今回の留学はスケジュールがタイトで体力的につらい時もありましたが、とても充実していてよかったと思います。日本では市街地から遠く離れないとみられないような景色よりも何倍も美しい景色が寮からほんの数十分のところで見られたり、また陸路で国境を超えるという経験をしたりして楽しかったです。高層ビルとアスファルトに囲まれた日本の都会とは違って、国連の重要な機関を有していながらもレマン湖の周りには広々とした公園が広がり、リラックスできる場所がすぐ近くにあるということに日本で暮らす人々の生活の質について考えさせられました。ジュネーブの喫煙率の高さだけは好きになれませんでしたが、それを除けば非常に暮らしやすい街なのではないかと感じました。最終日には一人で行動することもできて、少し怖かったですが自信がつきました。
寮に戻ってからの時間はシャワーの問題など大変なことも多かったですが、それがあったからこそ一緒に留学に来たメンバーとの関係がより深まったように思います。

5.おわりに
冒頭でも書きましたが、今でも留学中に撮影した写真を見返すと胸が高鳴るのを感じます。本当に参加してよかったと思います。そして今からは留学で学んだことを行動に移すときです。自分の夢の実現に向けてkeep dreamingで努力していきたいと思います。今回はこのような貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

        
  【UNOG】             【サンピエール大聖堂からの眺め】   【UNHCR】 

  
  【学食のラザニア】

» 検索結果一覧へ戻る