参加学生名
吉田和広さん
所属部局
環境科学院 博士後期課程
連携大学名
タスマニア大学海洋南極学研究所(オーストラリア)
論文テーマ
Photophysiological responses of phytoplankton and ice algae to light, temperature, and iron availability and their biogeochemical roles in subpolar and polar oceans
プログラムに参加した理由
博士研究では海氷の生物学を研究しようと思い、室内で海氷を生成し、海氷に生息する藻類を培養できる特殊な装置があるタスマニア大学で実験を行うことを主目的に、プログラムへの参加を決めました。海氷生物研究の第一人者のAndrew McMinn教授の下、海洋研究で世界4位(CWUR大学ランキング2017年)のトップレベルの研究機関であるタスマニア大学・国際南極学研究所(IMAS)で一年以上の長期間にわたって研究をすることで、自分の研究を大きく広げられるチャンスであるとも考え、プログラムへ参加することが良いと思いました。
期待している研究成果
今まで船での現場の海氷観測が基本であった海氷観測(特に生物)では多くのデータを取得することが困難です。室内培養実験を行えることで、今まで現場観測では分からなかった生物の動態や生理学を詳しく研究することができ、現場データと室内培養データを比べることで、現場観測の立案や海氷生物の動態研究に大きく寄与するものと思います。また、室内で海氷を生成し、藻類を培養する研究例は非常に限られ、注目を集めている気候変動と海氷の関係を明らかにすることに寄与できると期待しています。オーストラリアが研究対象としている東南極地域は、日本も研究に力を入れているため、私の研究が日本とオーストラリアの共同研究につながることも期待しています。
滞在を通して得られた経験
ダブル・ディグリー・プログラムでは、正規生である博士学生として在籍するため、現地の学生と同じように生活することになります。したがって、大学や役所での手続きなど困難も多いですが、その分、ほかの留学プログラムでは体験できないより実践的で有意義な滞在になるかと思います。生活になれるのにはさほど時間はかからず、豊かな自然と文化のあるタスマニアを楽しんでいます。オーストラリアは移民が多いため、友人の半分以上はアジアやヨーロッパ、北南米から来た人で、町中も様々な国の人や文化であふれており、多民族性が非常に新鮮です。
後輩へのメッセージ
私は、ダブル・ディグリー・プログラムでの渡豪の前にタスマニア大学に短期滞在を経験しましたが、その際には体験できなかった、共同研究や議論など様々な人とのやり取りをダブル・ディグリー・プログラムを通じて経験しています。海外大学に訪問することと、学生として在籍することでは大きな違いがあり、研究以外においても、考え方や文化の違いから学ぶことが非常に多いと思います。ダブル・ディグリー・プログラムのような制度を使って、長期間海外で研究できる機会が与えられることは本当にありがたいことで、参加をお勧めしたいと思います。